遺言と事業承継
事業承継の現状と課題
- 2015年の社長の平均年齢60.8歳。(秋田県はワースト3位で62.5歳)
- 事業不振や後継者難などの要因を抱えた「休廃業・解散」企業は2万6,699件(2015年)で高水準で推移している。
- 「休廃業・解散」企業の社長の平均年齢は67.8歳で、社長の高齢化が進んでいる。
※東京商工リサーチ調べ
事業承継の3つの類型
一般的に事業承継の種類として、子どもなどの親族が事業を引き継ぐ親族内承継、従業員が引き継ぐ社内での事業承継および、外部の第三者が事業を引き継ぐⅯ&Aなどがございます。
親族内承継
メリット | デメリット | |
---|---|---|
親族内承継 | 社内および外部から受け入れやすい。 | 相続の問題が発生する可能性がある。 |
社内での承継 | 後継者を能力本位で選べる。 | 従業員に資金があるかなど、引き継ぐ際の課題がある。 |
M&A | 事業の引継を外部に求めることで、事業の継続が図れる。 | 買い手を探すのが難しい。 |
早めの対策が必要
事業を承継するものは、「ひと、モノ、金、知的財産」など多岐にわたります。単に代表者を変えることが事業承継ではありません。
それゆえに、早めの事業承継は取引先との信頼関係の維持や従業員の安心につながるなど事業の安定にになくてはならない大切なイベントになります。
事業承継をしないデメリット
- 取引先が不安を抱える。
- 従業員が不安を抱える。
- 家族が不安を抱える。
- 事業が不安定になる。
事業承継の手順
1.事業承継に向けた準備の必要性の認識
事業承継をするための相談や対話に取り組む。
2.経営状況、経営課題の把握
経営の見える化を行い、課題の改善に向けた方向性を明確にする。
3.事業承継に向けた経営改善
競争力強化などにより企業価値を高め、後継者にとって魅力的な状態まで高める
4.事業承継計画書策定
円滑に引継を進めるため、後継者とともに事業承継計画を策定する。
5.事業承継の実行
株式、事業用資産や経営権の承継を実行する。
遺言はスムーズな事業承継に役立つ
後継者が安定的に経営をしていくためには、自社株式や事業用資産を後継者に承継させることが必要となります。
後継者に承継させる有効な手段として、“遺言”は重要な役割を果たします。どの財産を誰に承継するか明確にすることによって、事前に問題を解決しておくことができます。
遺言が無ければ、法定相続分に従って遺産分割が行われますが、遺産分割が完了するまで自社株式は法定相続人全員の共有となり、遺産分割協議に時間を要した場合などは事業承継が長期化するリスクがあるなど経営が不安定な状態になってしまうおそれがあります。
遺言を活用するポイント
- 遺産分割協議を回避することができることができる。
- 議決権を確保する(特別決議に必要な2/3以上の株式を経営者に集中させるなどの対策)
- 家族が争わないよう遺留分や後継者以外の相続人の心情に配慮する。
- 事業用の財産(不動産や動産など)が事業に支障がでないよう注意する。
自社株式の生前贈与
確実に事業承継を進めていく方法に、自社株の生前贈与があります。
これは、事業者が生きている間に、後継者への承継を進めていくものです。
具体には、年間110万円の基礎控除がある暦年課税制度や相続時精算課税制度、および事業承継税制を活用することが考えられます。
暦年課税制度 | 相続時精算課税制度 | |
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概要 | 暦年(1月1日〜12月31日)ごとに、その年中に贈与された価格の合計に対して贈与税を課税する | 将来相続関係に入る親から子への贈与について、 選択制により、贈与時に軽減された贈与税を納付し、相続時に相続税で精算する課税制度 |
控除額 | 基礎控除額110万円(毎年) | 非課税枠:2,500万円 (限度額まで複数年にわたり使用できる) |
贈与者 | 制限なし | 65歳以上の親 |
受贈者 | 制限なし | 20歳以上の子や孫である推定相続人 |
税率 | 基礎控除額を超えた部分に対して 10%~55%の累進税率 | 非課税枠を超えた部分に対して 一律20%の税率 |
相続時の精算 | 相続税と切り離して計算する (相続開始前3年以内の贈与は相続財産に加算) |
相続税の計算時に精算する (贈与財産は贈与時の時価で評価) |
当事務所に遺言を活用しての事業承継をご依頼できます
当事務所に依頼するメリット
- 相続のなかでも“遺言”にこだわっている専門家です。
- 事業承継は遺言だけで解決しません。私どもは、国から認定を受けている中小企業の相談機関(経営革新等認定支援機関)でもあります。経営の相談もあわせてすることができます。
- 元銀行員としての金融の業務経験を持ち合わせていますので、融資なども相談できます。